p.11 [2]の訳

 ある人が座敷を建てて絵を描かせる(ことになった)。白さぎ一種類(の絵)を希望した。絵かきは承知したといって焼筆で下絵を描いた。主人の言うことには,「どれもいいようだが,この白さぎの飛び上がったのは,羽のつかい方がこのようでは飛ぶことができまい」と言う。絵かきは答えて「いやいやこの飛ぶ姿が(この絵の)最もすばらしいところだ」と言っている最中,本物の白さぎが四五羽むらがって飛んだ。主人はこれを見て,「あれをごらんなさい。あのように描いてほしいのだ」と言うと,絵かきはそれを見て,「いやいやあの羽のつかい方では,私が描いたようには飛ぶことはとてもできまい」と言った。
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